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文章が書けない、意見が言えない大人が、チラシの裏にでも書いておけばいいことを「とつとつ」と書いていくブログです。

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池波正太郎の小説 鬼平犯科帳 第四巻「あばたの新助」読書後のあらすじと感想

どうも”とつとつ”です。

totsu-totsu.hatenablog.com

でも書きましたが、波正太郎の時代小説「鬼平犯科帳」は、私のお気に入りです。

定期的に何度も読み返している作品で、Kindleに入れていつも欠かさず持ち歩いています。

そんな「鬼平犯科帳」好きの私ですが、今日は、鬼平犯科帳 第四巻「あばたの新助(あばたのしんすけ)」の読書後のあらすじと感想(ネタばれ)を書きたいと思います。

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■過去の連載記事

鬼平犯科帳 (一)読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (二)読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (三)読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (四)「霧の七郎」読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (四)「五年目の客」読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (四)「密通」読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (四)「血闘」読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 第四巻

 

 

第四巻の収録作品は「霧の七郎」・「五年目の客」・「密通」・「血闘」・「あばたの新助」・「おみね徳次郎」・「敵」・「夜鷹殺し」の八編です。

今回は鬼平犯科帳 第四巻「あばたの新助」の読書後のあらすじと感想を書きたいと思います。

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「あばたの新助」の読書後のあらすじと感想

あらすじ

長谷川平蔵は。今戸橋の船宿〔嶋や〕へ、船頭・由松の病気を見舞った。

〔嶋や〕で少し酒を飲み、昼餉したためているうち、「久しぶりに、深川へ行って見ようか……」と思い立った。

嶋やから出させた舟が、大川(隅田川)から富岡八幡宮・門前の蓬莱橋の船着場に着いたとき、平蔵はこちらへやって来る男女の二人連れに目を止めた。

女の方は見知らぬが、男の方は火付盗賊改方・同心、佐々木新助であった……。

感想

第四巻 5話「あばたの新助」です。

佐々木新助は父の代から御先手組の長谷川組に属していて、平蔵も新助が少年のころから知っています。

妻・お米との間には三歳の娘もおり、夫婦仲も良好でした。

ちなみにお米は、火付盗賊改方・与力の佐島忠介の姪にあたり、長谷川平蔵が仲人を務めています。

そんな新助ですが、彼の中で芽生えた一時の浮気心が彼を破滅へと導いて行きます。

新助は平蔵を裏切り、密告者として盗賊・網切の甚五郎一味ために巡回の日程を教えます。

平蔵は部下や密偵たちを、疑わなければならない自分に嘆息します。

部下の与力・同心たちはおろか、密偵に対しても、平蔵は全幅の信頼をよせているのだ。この〔信頼の目〕が曇ったときこそ、(おれは御役目を辞さねばならぬ) おもいきわめている平蔵であった。彼らを信ずることができなくて、〔火盗改メ〕がどうしてつとまろうか。

平蔵は常日頃から、こう思っています。

登場人物

興味がある方は是非、下記のサイトにて詳細をチェックしてみてくださいね!!

次回予告

次回は、鬼平犯科帳 第四巻「おみね徳次郎」の読書後のあらすじとコメント(ネタばれ)を書きたいと思います。

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池波正太郎の小説 鬼平犯科帳 第四巻「血闘」読書後のあらすじと感想

どうも”とつとつ”です。

totsu-totsu.hatenablog.com

でも書きましたが、波正太郎の時代小説「鬼平犯科帳」は、私のお気に入りです。

定期的に何度も読み返している作品で、Kindleに入れていつも欠かさず持ち歩いています。

そんな「鬼平犯科帳」好きの私ですが、今日は、鬼平犯科帳 第四巻「血闘 (けっとう)」の読書後のあらすじと感想(ネタばれ)を書きたいと思います。

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■過去の連載記事

鬼平犯科帳 (一)読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (二)読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (三)読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (四)「霧の七郎」読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (四)「五年目の客」読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (四)「密通」読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 第四巻

 

 

第四巻の収録作品は「霧の七郎」・「五年目の客」・「密通」・「血闘」・「あばたの新助」・「おみね徳次郎」・「敵」・「夜鷹殺し」の八編です。

今回は鬼平犯科帳 第四巻「血闘」の読書後のあらすじと感想を書きたいと思います。

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「血闘」の読書後のあらすじと感想

あらすじ

場所は武蔵の国・南葛飾郡・渋江村だ。

いつの間にか、日が暮れかけていた。

長谷川平蔵は小舟の中で苛立ちながら待っていた。

火付盗賊改方の役宅から、部下たちが駆けつけて来るのをもう二刻(四時間)も待ち続けている。

目の前にある荒屋敷の中に、密偵のおまさが連れこまれている。

悪党どもに捕らわれている、おまさを救い出さねばならない……。

感想

第四巻 4話「血闘」です。

長谷川平蔵密偵のなかでは紅一点、おまさの登場です。

平蔵はおまさを二十年以上前から知っています。

おまさが十か十一のころの平蔵は継母・波津と、折り合いが悪くほとんど屋敷へは寄りつかず、おまさの父親・〔鶴の忠助〕(たずがねのちゅうすけ)が営む盗人酒屋に入り浸っていました。

その頃の平蔵は名を銕三郎と呼び、無頼のものからも恐れられる若者でした。

そのころのおれときたら、箸にも棒にもかかったものではない。四百石どりの父の体面にもかかわるまねのしつづけで、親類どもは、このままに、おれを放っておいたなら、神君(家康)以来の長谷川家も幕府から取りつぶされてしまいかねぬ……と、な。いやもう全くの、鼻つまみで、いま考えると冷汗がわいてくる

平蔵は後年、こう思い返しています。(笑)

おまさの父親・〔鶴の忠助〕はむかしかたぎの盗賊で、

ないところからは盗人らず、ありあまるところから盗る。おつとめに人を殺傷せぬ。女を犯さぬ 

真の盗賊なら守り抜かねばならない〔三カ条〕を貫いた男です。

そんな父親の影響もあり、おまさも盗賊の世界に足を踏み入れました。

しかし平蔵が火付盗賊改方の長官に就任したと知り、密偵になる決意をしました。

以来、おまさは小間物の行商をしながら、江戸市中を歩き回り情報を平蔵にもたらすようになりました。

登場人物

興味がある方は是非、下記のサイトにて詳細をチェックしてみてくださいね!!

次回予告

次回は、鬼平犯科帳 第四巻「あばたの新助」の読書後のあらすじとコメント(ネタばれ)を書きたいと思います。

あわせて読みたい

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簑輪諒の小説「殿さま狸」読書後のあらすじと感想

どうも”とつとつ”です。

黒田官兵衛とともに羽柴秀吉の天下盗りの片翼を担った蜂須賀小六の嫡男・蜂須賀家政が主人公の物語です。

家政は秀吉の親衛隊である黄母衣衆ながら、臆病なのに強がりで、理屈ばかりは一人前な、ひねくれ者です。

家政の望みは武将として川並衆の頭領、父・蜂須賀小六の高い壁を超えることである。

今回は「阿波の狸」と呼ばれた家政の葛藤と成長を描く歴史小説「殿さま狸」(簑輪諒・著 学研パブリッシングを紹介します。

■著者等紹介

簑輪諒[ミノワリョウ]

1987年生まれ、栃木県出身。

2014年、丹羽家の敗者復活劇を描いた第19回歴史群像大賞入賞作品『うつろ屋軍師』でデビュー。

デビュー作がいきなり「この時代小説がすごい!2015年版」にランクインし、今後が楽しみな新人の登場と注目を集める。

 

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あらすじ

羽衣石城の救援戦

1581年、十月二十七日、織田領の因幡と毛利領の伯耆の国境付近で、羽柴軍は御冠山、毛利軍はその向かいの馬ノ山に陣を敷いて対峠していた。

秀吉は周囲を毛利軍に包囲され兵糧攻めを受けている味方、南条氏の城・羽衣石(うえし)城を助ける必要があった。

城を救うための方法は二つしかない。

  • 城の解放を条件に毛利方の要求 ー伯耆因幡からの撤退ーを呑むか
  • 馬ノ山に陣取る吉川元春を打ち破るか

秀吉に与えられた選択肢は、その二つと思われたが、蜂須賀正家から第三の選択肢が献策された。

第三の選択とは、毛利軍に包囲され兵糧攻めに耐え続けている羽衣石城へ兵糧を搬入するというものであった。

搬入方法は、父親・蜂須賀小六の配下・川並衆を使い、陸ではなく川からの搬入である。

本能寺の変

本能寺の変では、家政は姫路城や播磨国内の支城の兵を用いて、毛利へ行くであろう本能寺の変報を遮断した。

本能寺の変後、旧主・織田信長の仇である明智光秀を真っ先に討ち果たし最大の功臣として、信長の遺産である織田政権を取り取り仕切った。

羽柴秀吉は自身の政敵をことごとく攻め滅ぼし、信長の遺産である織田政権を完全に掌握した。

蜂須賀家政は、これまでの一連の戦功を賞され、播磨国佐用郡三日月に三千石の領地を与えられた。

四国征伐

天正十三年(1585)年、羽柴軍による四国征伐が開始された。

蜂須賀小六、家政らの播磨勢二万三千は讃岐(香川県)から、秀吉の実弟羽柴秀長が率いる本軍六万は阿波(徳島県)から、そして本能寺の変後、秀吉の傘下に降った毛利家三万は伊予(愛媛県)から攻め込んだ

総勢十一万という、途方もない大軍勢である。

「秀吉が目指す天下統一にとって、長曾我部元親は敵ではない。敵は、時間である」 そう考える家政は、長曾我部を許すことをで、四国平定を早めるばかりでなく、他の大名たちも秀吉の傘下に降りる踏んでいる。

家政は一宮城の攻略を進める。

阿波・一宮城は、天然の要害を備えた、淡路国内でも有数の山城である。

だが山城の最大の難点は、水の確保である。

家政はそこに目を付け、総大将の羽柴秀長に献策し、川並衆を使い一宮城の水の手を断ったのである

川並衆は、傭兵として大名に雇われるとき、槍働きばかりでなく、火付けや刈り働き、兵糧庫や井戸の破却などといった、いわゆる乱破のような役目を担うこともある。

それから間もなく、防戦を続けていた一宮城は開城した。

そのほかの諸城も次々と陥落していった。

長曾我部元親は秀吉に降伏し、土佐一国のみを安堵とされ、秀吉の傘下に収まった。

四国征伐は、わずか一ヶ月半で平定した。

九州をのぞく西国を平定した秀吉の権勢は巨大なものとなり、関白に就任した。

阿波の狸

四国征伐後、蜂須賀家政は阿波一国・十七万五千七百石の国主を任される。

しかしそれは家政の武功ではなく、父・小六の武功というべき親の七光りであった。

阿波は国人や海賊の力が強い難治の土地。

家政は阿波一国を治めるために、新たに徳島城を築城することにした。

川の民の出である家政は、普通の武家大名とは違い、徳島城を中心に新田を開くよりも都市と流通の発展に力を注いだ。

徳島城を居城にした頃、家政に対して二つの評価があった。

ある者は「あれほど肚の読めない、油断ならぬ食わせ者はいない」と蔑んだ。

またある者は「あれほど熱心で知恵深い国主はいない」と称賛した。

人々は家政のことを称賛や畏敬、軽蔑や愛嬌など様々な思いを込めて、「阿波の狸」と呼ぶようになった……。

感想

秀吉を支えた名将・蜂須賀小六の嫡男・蜂須賀家政が主人公の物語です。

織田信長による毛利攻めから、天下分け目の関ヶ原合戦まで、一人の臆病者がいかにして生きたのかを描かれています。

蜂須賀家政のことを私は、名前ぐらいで、詳しく知らなかった人物です。

また阿波踊りの起源だったとは、まったく知りませんでした。

簑輪諒氏の本は「うつろ屋軍師」に続いて2冊目ですが、どちらも面白い人物を取り上げていて、文章も読みやすく、楽しく読ませてもらいました。

今後に期待です。

また簑輪諒氏の本を読んでみたいと思います。

「阿波の狸」と呼ばれた家政の葛藤と成長を描く歴史小説「殿さま狸」(簑輪諒・著 学研パブリッシング)をぜひ一度、読んでみてくださいね。

 

殿さま狸

殿さま狸

 

 

池波正太郎の小説 鬼平犯科帳 第四巻「密通」読書後のあらすじと感想

どうも”とつとつ”です。

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でも書きましたが、波正太郎の時代小説「鬼平犯科帳」は、私のお気に入りです。

定期的に何度も読み返している作品で、Kindleに入れていつも欠かさず持ち歩いています。

そんな「鬼平犯科帳」好きの私ですが、今日は、鬼平犯科帳 第四巻「密通(みっつう)」の読書後のあらすじと感想(ネタばれ)を書きたいと思います。

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鬼平犯科帳 (一)読書後のあらすじと感想

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鬼平犯科帳 (四)「霧の七郎」読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (四)「五年目の客」読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 第四巻

 

 

第四巻の収録作品は「霧の七郎」・「五年目の客」・「密通」・「血闘」・「あばたの新助」・「おみね徳次郎」・「敵」・「夜鷹殺し」の八編です。

今回は鬼平犯科帳 第四巻「密通」の読書後のあらすじと感想を書きたいと思います。

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「密通」の読書後のあらすじと感想

あらすじ

血頭の丹兵衞が駿河国・島田宿で捕らえられ、江戸に護送されてから半月が経ったある日、長谷川平蔵の妻・久栄が伯父の天野彦八郎から頼まれごとをされた。

久栄は何かにつけ威張りちらす、鼻持ちならないこの伯父が大きらいなのである。

伯父・天野彦八郎からの頼みは、天野家の家来・遠藤小助が金五十両を盗んで逃げたので、御公儀筋には内々に探し出して欲しいというものであった。

本来ならば幕府の目付役へ届けてから、町奉行所へ任せるのが筋で、火付盗賊改方が取り扱うものではない。

しかし親類すじの頼みごとゆえ、平蔵は一応の話を聞いてみることにした。

感想

第四巻 3話「密通」です。

久栄の伯父・天野彦八は悪人です。

長谷川平蔵・久栄夫婦にも、こんな親類がいるのには驚きました。

七百石の旗本であり、御小納戸という将軍家の側近くに使える役目にあるにも関わらず、家臣の妻に手を出すとは……。

久栄が大嫌いなのもわかります。

池波正太郎氏が平蔵の親類をこんな悪人として描いたのも、面白いです。

登場人物

興味がある方は是非、下記のサイトにて詳細をチェックしてみてくださいね!!

次回予告

次回は、鬼平犯科帳 第四巻「血闘」の読書後のあらすじとコメント(ネタばれ)を書きたいと思います。

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池波正太郎の小説 鬼平犯科帳 第四巻「五年目の客」読書後のあらすじと感想

どうも”とつとつ”です。

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定期的に何度も読み返している作品で、Kindleに入れていつも欠かさず持ち歩いています。

そんな「鬼平犯科帳」好きの私ですが、今日は、鬼平犯科帳 第四巻「五年目の客(ごねんめのきゃく)」の読書後のあらすじと感想(ネタばれ)を書きたいと思います。

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鬼平犯科帳 (一)読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (二)読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (三)読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (四)「霧の七郎」読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 第四巻

 

 

第四巻の収録作品は「霧の七郎」・「五年目の客」・「密通」・「血闘」・「あばたの新助」・「おみね徳次郎」・「敵」・「夜鷹殺し」の八編です。

今回は鬼平犯科帳 第四巻「五年目の客」の読書後のあらすじと感想を書きたいと思います。

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「五年目の客」の読書後のあらすじと感想

あらすじ

浅草・今戸橋に近い〔嶋や〕で小房の粂八を供に連れて、岸井左馬之助と気晴らしがてら酒を飲んだ長谷川平蔵

その帰り際、一足先に舟を出す準備をしていた粂八が、今戸橋を渡っている四十がらみの商人ふうの男を見るよう、平蔵に囁いた。

男は遠州の大盗賊(おおもの)・羽佐間の文蔵の手下、江口の音吉という。

粂八が江口の音吉を尾行しようとするが、顔を知られているため、岸井左馬之助が音吉のあとをつけた。

尾行の最中、左馬之助は音吉が女と逢引するのを見た……。

感想

第四巻 2話「五年目の客」です。

この物語は、江口の音吉と旅籠〔丹波屋源兵衛〕の女房・お吉、両者の勘違い(江口の音吉はお吉が、浮気性な女と思い、お吉は江口の音吉への贖罪と思い)を描いています。

長谷川平蔵の親友・岸井左馬之助は火付盗賊改方の一員になったつもりで江口の音吉の尾行を買って出ます。

与力の佐嶋忠助らがいう通り、岸井左馬之助の探索ぶりや変装などとも、なかなか板について来ました。

この回では池波正太郎氏の本格の盗賊への賞賛と、その道から外れた盗賊への侮蔑が見えます。

文蔵は、あの〔蓑火の喜之助〕や〔海老坂の与兵衛〕などのように、盗みはするが、決して人を殺したり傷つけたりせぬことを信条とする本格の盗賊ではない。 盗むためには、なさけようしゃもなく殺傷をおこなうという兇盗なのだ。

また小房の粂八にはこうも語らせています。

羽佐間の文蔵のような男は、生まれつきの悪党なのでございますね。血を見ることをなんともおもわねえので……へい、ですからその、盗みに芸がございません。ちからずくで押し入り、人を殺しておいてから金をうばうという……

池波正太郎氏の盗賊に対する好意と侮蔑を窺い知ることができます。

登場人物

興味がある方は是非、下記のサイトにて詳細をチェックしてみてくださいね!!

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次回は、鬼平犯科帳 第四巻「密通」の読書後のあらすじとコメント(ネタばれ)を書きたいと思います。

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池波正太郎の小説 鬼平犯科帳 第四巻「霧の七郎」読書後のあらすじと感想

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定期的に何度も読み返している作品で、Kindleに入れていつも欠かさず持ち歩いています。

そんな「鬼平犯科帳」好きの私ですが、今日は、鬼平犯科帳 第四巻「霧の七郎(なごのしちろう)」の読書後のあらすじと感想(ネタばれ)を書きたいと思います。

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鬼平犯科帳 (一)読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (二)読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 (三)読書後のあらすじと感想

鬼平犯科帳 第四巻

 

 

第四巻の収録作品は「霧の七郎」・「五年目の客」・「密通」・「血闘」・「あばたの新助」・「おみね徳次郎」・「敵」・「夜鷹殺し」の八編です。

今回は鬼平犯科帳 第四巻「霧の七郎」の読書後のあらすじと感想を書きたいと思います。

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「霧の七郎」の読書後のあらすじと感想

あらすじ

霧の七郎は長谷川平蔵に捕えられて死刑にされた兄・〔小川や梅吉〕の恨みを晴らすために、機会をうかがっていた。

渋谷村の金王八幡宮の境内で、賭博場へ出入りをしている無頼ども七人を、電光のごとく抜き打って瞬く間に倒した浪人を七郎は目撃した。

浪人の名は、上杉周太郎、剣客であった。

五尺そこそこの小男で、しかもずんぐりと肥った体躯だが、腕前は確かである。

兄・小川や梅吉の恨みを晴らそうとしていた七郎にとって、うってつけの浪人であった。

七郎は浪人に金百両で、殺しを依頼した。狙った相手は、平蔵の長男・辰蔵である……

感想

第四巻 1話「霧の七郎」です。

鬼平犯科帳 第三巻「むかしの男」で、長谷川平蔵の養女・お順と妻女・久栄を殺して平蔵に復讐しようとして失敗に終わった霧の七郎は、今度は平蔵の長男・辰蔵を殺そうとします。

七郎の兄・小川や梅吉に対する兄弟愛はすごいものです。

霧の七郎から、金百両で殺しの依頼を受けた上杉周太郎は念流の剣客でした。

辰蔵の剣術の師・坪井主水は上杉周太郎の父・馬四郎の弟子でした。

周太郎は風貌が冴えないせいもあり、金にも名誉にも縁がなく、市中に埋もれていました。

平蔵が長男・辰蔵に語った

上杉さんはな、あの顔かたちで損をしつづけて来たのだ。 世の中の人間の多くは、うわべだけで人の値うちをはかってしまうゆえ、な

すごく印象に残りました。

江戸時代も中期になると、剣の腕だけでは仕官先がないので、世に埋もれ、悪の道に手を染める浪人や剣客が大勢いたのでしょうか。

登場人物

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伊坂幸太郎の小説 「グラスホッパー」読書後のあらすじと感想

グラスホッパー

今回はじめて伊坂幸太郎の小説を読んでみました。

伊坂幸太郎原作の120万部突破ベストセラー小説『グラスホッパー

2015年には生田斗真主演で映画化もされました。

第132回直木三十五賞候補作となった作品です。

あらすじ

鈴木は、27歳の元中学校教師である。2年前、妻をひき逃げ事故で亡くした。

ひき逃げの犯人は、裏の世界では有名な「フロイライン」の社長寺原の息子であったため、その事件はもみ消され罪に問われることはなかった。

鈴木は、寺原の息子に復讐するために教員を辞めフロイラインに入社する。

フロイラインでの仕事は、依存性のある薬物入りの健康食品を売りつけるというものだった。

フロイラインには復讐心で入社する者が多くおり、鈴木にもその疑いがかけられた。

鈴木は教育係を任された比与子から「テスト」をされることになる。

比与子はテストのために街で声をかけ、薬で眠らせた若いカップルを鈴木に拳銃で殺すように命じた。

鈴木が2人を殺すところを寺原の息子が見届けることで、疑いを晴らそうとしたのです。

しかし寺原の息子は、鈴木たちの目の前で車に轢かれて死んでしまう。

鈴木は、寺原の息子が背中を押され、車道に押し出される様子を目撃した。裏社会には、「押し屋」と呼ばれる殺し屋がいるのだという。

比与子は鈴木に、寺原の息子を押した男(押し屋)を探すように指示をした。

鈴木は正体を探るため、男の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。

感想

グラスホッパーは鈴木・鯨・蝉の3人の登場人物の視点でそれぞれ描かれており、交互に主人公が変わっていくストーリー展開です。

鈴木以外はプロの殺し屋です。寺原の息子を押した、押し屋「槿(あさがお)」を軸に接点のない、鈴木・鯨・蝉の3人が絡まっていきます。

前々から気になっていて、今回初めて伊坂幸太郎の小説を手にとってみましたが、3人の視点がコロコロ変化していくテンポ感があり読みやすかったです。

しかし子供が裏組織・劇団の一員というのはあまりにも現実離れしていて読んでいて違和感を感じました。

登場人物が個性的ですし、小説としてもよく考えられたストーリーなのだろうとは思いますが、 すごく面白い話かと言われると、うーん・・・・。

主な登場人物

■ 鈴木

27歳の元中学校教師。二年前、妻がひき逃げに遭って亡くなるまでは平凡な生活を送っていた。犯人に復讐するため職を変え、その父親の経営する会社「フロイライン」に入社する。

 

■ 鯨

自殺専門の殺し屋。「鯨」の名に相応しく大柄な体格で、彫の深い陰鬱な目をしている。彼と対面した人間はなぜか死にたくなるという。愛読書はドストエフスキーの『罪と罰』で、それ以外は読んだことがない。自殺させた人間が幻覚のように現れ話しかけてくるため、現実が曖昧になりつつある。

 

■ 蝉

ナイフを巧みに扱う殺し屋。ナイフの扱いだけでなく格闘術にも優れる。岩西という仲介業者と2人で仕事を受けている。痩身で猫のように機敏な茶髪の青年。哲学的死生観を持ち、口が悪く蝉のように喧しい。

さいごに

 

グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)