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簑輪諒の小説「うつろ屋軍師」読書後のあらすじと感想

うつろ屋軍師

どうも”とつとつ”です。

織田五大将である柴田勝家丹羽長秀滝川一益明智光秀羽柴秀吉のうち、大名として生き残った唯一の家として、明治維新まで続いたのが、丹羽家です。

丹羽家は幾度となく窮地に追い込まれ、そのたびに這い上がった数奇な運命を持ちます。

丹羽長秀と、その子である丹羽長重に仕えた家臣・江口三郎右衛門正吉。

普通では考えつかない、常識はずれのような策を提案することから、周りからは「空論(うつろ)屋」と呼ばれています。しかしその空論を貫き通すことで、没落した丹羽家を再興させます。

本日は幾度となく窮地に追い込まれ、そのたびに這い上がった数奇な運命を持つ丹羽家と「空論屋」と呼ばれる家臣・江口正吉の活躍を描いた歴史小説「うつろ屋軍師」(簑輪諒・著 学研パブリッシングを紹介します。

■著者等紹介

簑輪諒[ミノワリョウ]

1987年生まれ、栃木県出身。

2014年、丹羽家の敗者復活劇を描いた第19回歴史群像大賞入賞作品『うつろ屋軍師』でデビュー。

デビュー作がいきなり「この時代小説がすごい!2015年版」にランクインし、今後が楽しみな新人の登場と注目を集める。

 

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あらすじ

没落、そして再興!

江口正吉が仕えた丹羽長秀は、「米のように欠かせぬ男」と言われ、軍事だけでなく安土城の建設など内政面でも信長を支えた名将です。

本能寺の変で信長が討たれた後は秀吉に協力し、賤ヶ岳の合戦、小牧・長久手の戦いに従軍し、若狭・越前・加賀・百二十三万石の大名になります。

しかし丹羽長秀の死後、大きくなりすぎた丹羽氏の勢力を削ぐために秀吉から謀反の疑いがかかり越前と加賀の領地を召し上げられ、若狭・十二万石のみ安堵される。

さらに秀吉により島津征伐の不始末の償いと称し、若狭の領地を召し上げられ、加賀松任・4万石に減封されてしまう。

百二十三万石から四万石の小大名に没落してしまう途中で、丹羽家からは多くの家臣たちが去っていった。

そんな中、江口正吉は長秀の跡を継いだ丹羽長重に付き従い続け、筆頭家老となり支える。

やがて小田原征伐などの功により丹羽家が松任に加えて新たに加賀小松を与えられ十二万五千石に加増されると、正吉は一万石を領した。

改易、そして再興!!

関ヶ原の合戦では丹羽家の旧領、百二十三万石を約束に石田三成の西軍に付き、東軍の前田家の南進を防ぐ戦いをする。前田軍二万五千の兵士に対し、丹羽軍は三千の兵士で応戦する。

また北陸の関ヶ原浅井畷の戦い」では、江口正吉自ら指揮する奇襲部隊により前田軍に大損害を与えて戦果を上げている。

関ヶ原の合戦後、西軍に付いた丹羽家はお取り潰しとなり、丹羽家は改易、家臣は離散することとなった。江口正吉は越前・結城秀康に一万石で召抱えられる。

しかし関ヶ原の合戦からわずか三年後、丹羽長重常陸(茨城県)古渡・一万石の大名へと復帰する。

長重の大名復帰の裏には、加賀前田家、伊予藤堂家、紀伊浅野家、阿波蜂須賀家、越前結城家など、多くの大名家から幕府への働きかけがあったからである。

江口正吉は結城秀康の死後出奔し、大坂夏の陣の直前に丹羽家に帰参する。

豊臣家滅亡後、丹羽家は陸奥棚倉五万石に転封され、棚倉城を築き、城下町の形成や商業の発展にも尽力した。

その実績を見込まれ、陸奥白河に十万七百石で加増転封となり、奥州街道の抑えを任された。

丹羽長重がこの地で築いた白河城(小峰城)は、東北三名城に数えられる。

江口家は代々家老を務め、当主は「三郎右衛門」と称した。

丹羽家はかつての織田五大将のうち、大名として生き残った唯一の家として、明治維新まで続く。

感想

織田五大将である柴田勝家丹羽長秀滝川一益明智光秀羽柴秀吉の中では、比較的マイナーな武将・丹羽長秀の家とその家来に焦点を当てた物語です。

小説を読むまで、主人公・江口正吉のことは知りませんでした。

丹羽家の武将も長束正家という武将がいたのを知っている程度でした。

また丹羽家が大名として明治維新まで残ったのは知りませんでした。

ましてや改易を経て大名に復活したとは、驚きです!?

立花宗茂関ヶ原敗戦による改易から、大名に復活したのは知っていましたが、もう一人いたとは……。

小説を読むまで、知らないことばかりでした。(笑)

物語はとても読みやすく、テンポよく描かれています。

それにしても本作品がデビュー作とは、今後に期待です。

また簑輪諒氏の本を読んでみたいと思いました。

幾度となく窮地に追い込まれ、そのたびに這い上がった数奇な運命を持つ丹羽家と「空論屋」と呼ばれる家臣・江口正吉の活躍を描いた歴史小説「うつろ屋軍師」(簑輪諒・著 学研パブリッシング)をぜひ一度、読んでみてくださいね。

 

うつろ屋軍師

うつろ屋軍師