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簑輪諒の小説「殿さま狸」読書後のあらすじと感想

どうも”とつとつ”です。

黒田官兵衛とともに羽柴秀吉の天下盗りの片翼を担った蜂須賀小六の嫡男・蜂須賀家政が主人公の物語です。

家政は秀吉の親衛隊である黄母衣衆ながら、臆病なのに強がりで、理屈ばかりは一人前な、ひねくれ者です。

家政の望みは武将として川並衆の頭領、父・蜂須賀小六の高い壁を超えることである。

今回は「阿波の狸」と呼ばれた家政の葛藤と成長を描く歴史小説「殿さま狸」(簑輪諒・著 学研パブリッシングを紹介します。

■著者等紹介

簑輪諒[ミノワリョウ]

1987年生まれ、栃木県出身。

2014年、丹羽家の敗者復活劇を描いた第19回歴史群像大賞入賞作品『うつろ屋軍師』でデビュー。

デビュー作がいきなり「この時代小説がすごい!2015年版」にランクインし、今後が楽しみな新人の登場と注目を集める。

 

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あらすじ

羽衣石城の救援戦

1581年、十月二十七日、織田領の因幡と毛利領の伯耆の国境付近で、羽柴軍は御冠山、毛利軍はその向かいの馬ノ山に陣を敷いて対峠していた。

秀吉は周囲を毛利軍に包囲され兵糧攻めを受けている味方、南条氏の城・羽衣石(うえし)城を助ける必要があった。

城を救うための方法は二つしかない。

  • 城の解放を条件に毛利方の要求 ー伯耆因幡からの撤退ーを呑むか
  • 馬ノ山に陣取る吉川元春を打ち破るか

秀吉に与えられた選択肢は、その二つと思われたが、蜂須賀正家から第三の選択肢が献策された。

第三の選択とは、毛利軍に包囲され兵糧攻めに耐え続けている羽衣石城へ兵糧を搬入するというものであった。

搬入方法は、父親・蜂須賀小六の配下・川並衆を使い、陸ではなく川からの搬入である。

本能寺の変

本能寺の変では、家政は姫路城や播磨国内の支城の兵を用いて、毛利へ行くであろう本能寺の変報を遮断した。

本能寺の変後、旧主・織田信長の仇である明智光秀を真っ先に討ち果たし最大の功臣として、信長の遺産である織田政権を取り取り仕切った。

羽柴秀吉は自身の政敵をことごとく攻め滅ぼし、信長の遺産である織田政権を完全に掌握した。

蜂須賀家政は、これまでの一連の戦功を賞され、播磨国佐用郡三日月に三千石の領地を与えられた。

四国征伐

天正十三年(1585)年、羽柴軍による四国征伐が開始された。

蜂須賀小六、家政らの播磨勢二万三千は讃岐(香川県)から、秀吉の実弟羽柴秀長が率いる本軍六万は阿波(徳島県)から、そして本能寺の変後、秀吉の傘下に降った毛利家三万は伊予(愛媛県)から攻め込んだ

総勢十一万という、途方もない大軍勢である。

「秀吉が目指す天下統一にとって、長曾我部元親は敵ではない。敵は、時間である」 そう考える家政は、長曾我部を許すことをで、四国平定を早めるばかりでなく、他の大名たちも秀吉の傘下に降りる踏んでいる。

家政は一宮城の攻略を進める。

阿波・一宮城は、天然の要害を備えた、淡路国内でも有数の山城である。

だが山城の最大の難点は、水の確保である。

家政はそこに目を付け、総大将の羽柴秀長に献策し、川並衆を使い一宮城の水の手を断ったのである

川並衆は、傭兵として大名に雇われるとき、槍働きばかりでなく、火付けや刈り働き、兵糧庫や井戸の破却などといった、いわゆる乱破のような役目を担うこともある。

それから間もなく、防戦を続けていた一宮城は開城した。

そのほかの諸城も次々と陥落していった。

長曾我部元親は秀吉に降伏し、土佐一国のみを安堵とされ、秀吉の傘下に収まった。

四国征伐は、わずか一ヶ月半で平定した。

九州をのぞく西国を平定した秀吉の権勢は巨大なものとなり、関白に就任した。

阿波の狸

四国征伐後、蜂須賀家政は阿波一国・十七万五千七百石の国主を任される。

しかしそれは家政の武功ではなく、父・小六の武功というべき親の七光りであった。

阿波は国人や海賊の力が強い難治の土地。

家政は阿波一国を治めるために、新たに徳島城を築城することにした。

川の民の出である家政は、普通の武家大名とは違い、徳島城を中心に新田を開くよりも都市と流通の発展に力を注いだ。

徳島城を居城にした頃、家政に対して二つの評価があった。

ある者は「あれほど肚の読めない、油断ならぬ食わせ者はいない」と蔑んだ。

またある者は「あれほど熱心で知恵深い国主はいない」と称賛した。

人々は家政のことを称賛や畏敬、軽蔑や愛嬌など様々な思いを込めて、「阿波の狸」と呼ぶようになった……。

感想

秀吉を支えた名将・蜂須賀小六の嫡男・蜂須賀家政が主人公の物語です。

織田信長による毛利攻めから、天下分け目の関ヶ原合戦まで、一人の臆病者がいかにして生きたのかを描かれています。

蜂須賀家政のことを私は、名前ぐらいで、詳しく知らなかった人物です。

また阿波踊りの起源だったとは、まったく知りませんでした。

簑輪諒氏の本は「うつろ屋軍師」に続いて2冊目ですが、どちらも面白い人物を取り上げていて、文章も読みやすく、楽しく読ませてもらいました。

今後に期待です。

また簑輪諒氏の本を読んでみたいと思います。

「阿波の狸」と呼ばれた家政の葛藤と成長を描く歴史小説「殿さま狸」(簑輪諒・著 学研パブリッシング)をぜひ一度、読んでみてくださいね。

 

殿さま狸

殿さま狸